世界遺産の広報職員が教える京都「本当に癒されるパワースポットその①」

 物質の利便性に偏重した現代社会において、「こころの癒し」が見直されてきています。それに伴い、日本を代表する「パワースポット」である京都がなぜ、1200年もの長きにわたり都であり続けたのかを何回かに分けて、歴史的かつ宗教や地勢学を含めた総合的な視点から検証したいと思います。

 

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威厳ある下鴨神社の楼門

 

 京都が風水をもとに四神相応(しじんそうおう)の理論で造営された都だというのは有名な話ですね。

実際京都には、

 

北に玄武(げんぶ・山が連なり) 北山連峰

東に青龍(せいりゅう・川が流れ)  鴨川

南に朱雀(すざく・海や湖があり)巨椋池 今は干拓されていますが

西に白虎(びゃっこ・大街道がある)山陰・山陽道

鬼門の方角に大きな寺院 延暦寺

 

が配置され、その中央に黄龍(おうりゅう・都)があり、風水上完璧な大都市のモデルだと云われています。

 

 これだけでも十二分に都としての機能を果たせると思うのですが、京の都にはそれ以上に、地勢的重要地点の穢(けがれ)を払い、都の長きの繁栄を祈願したと思われる遺構がたくさん現存しています。

 

 その代表的なものが、将軍塚の存在でしょう。

 

 東山の山頂近くの京都盆地をおしなべて見下ろせる地点に、桓武天皇が平安京の鎮護安穏(ちんごあんのん)を祈念した「将軍像」を埋められた場所と伝わりますが、これは風水には関係なく、京都独自の地鎮法だと思われます。

 

 「そんな2重3重にも結界が張り巡らされ、千年以上にわたり京都を護り続けた遺構に「龍のパワー」が宿らない訳が無い」

 

 当時いろいろな悩みと将来への不安を抱えた私は、こう考えました。スピリチアルにかぶれ始めていたのもあり、藁にもすがる思いで取り付かれたかのように京都の神社、大寺院と、いわゆる「パワースポット」を廻り始めました。そしてその記録を纏めるために、ノートに書き綴っていると、ある一定の法則を見つけ出すことができました。

 

 その場所を丁寧に巡拝し続けることで、本当に奇跡のようなタイミングと勝縁で今の職を手に入れ、悩みのない落ち着いた生活を手に入れることができたと思います。

 

 これから何回かに分けて、巡礼を続けたパワースポットの場所と起源、なるべく詳しく縁の話などを交えながら紹介し、このブログを見ていただいた方々が少しでも癒され、勝縁を得ることができるならばと思います。

 ただし金運には全く作用しなかったので、よこしまな気持ちで巡拝しても全く意味がないと思いますよ。(^_^;)

 

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楼門をくぐり、舞殿から本殿を拝す

 

 正式な名称は、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)と云い、有史以前から京都を治めた「賀茂氏」の産土神(うぶすなかみ)として、日本でも最古の神社の一つに数えられています。

 5月15日には三大勅使祭の一つ「葵祭」(あおいまつり)が営まれ、古来より京都では、比叡山を「やま」というように「祭り」という言葉は、この葵祭りの代名詞として使われてきました。

 

 

 古事記日本書紀にも記述があり、神武天皇(じんむてんのう・初代の天皇)東征の際、弓矢の上にとまり、熊野の国から大和の国へ案内を果たした「八咫鴉」(やたからす・サッカー日本代表のトレードマークとして有名ですね)を神格化した、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)を西殿に、またその娘の玉依姫命(たまよりひめのみこと)を東殿に主祭神としてお祀りしています。

 

 この玉依姫命は、比叡山越えた山王総本宮日吉大社(さんのうそうほんぐうひよしたいしゃ)の主祭神、また、京都をまたいだ松尾大社(まつおたいしゃ)の主祭神でもある大山咋神(おおやまくいのかみ)と結婚し、上賀茂神社主祭神である賀茂別雷大神(かもわけいかずちのおおかみ)を産み落とすことになり、この産み落としの神事が大津市坂本で毎年4月13日に行われる日吉山王祭の「宵宮落とし」(よみやおとし)の神事と云われます。

 

 私の勝手な推測なんですが、自らの産土神をこうやって神話の中でお互いに結びつけることで、古来から京都の地を治めた賀茂氏秦氏(はたし)という大豪族と、大和朝廷が、この地の統治の正当性を誇示したのだろうと思いますね。

 

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 京阪本線出町柳駅で下車し、5分ほど歩くと参道である「糺の森」(ただすのもり)へと到着します。

車で行っても、参道口の真ん前に結構大きな駐車場があるので、アクセスは非常に便利です。

 この駐車場の料金は、30分で150円。1日最大で1200円なので、そんなに高い料金ではないでしょう。

 

 上の写真は糺の森の内部で、参道の真ん中には、「瀬見の小川」、東には「泉川」が流れ、外部の京都市街に比べ、ほんの50mほど中に入るだけで、3~4℃ほど涼しくなります。本当に空気が「キリッ」と引き締まるのが実感できますよ。

 高野川と賀茂川の三角州にある湿地帯で、有史以前より神域のため、2千年以上一切手つかずの自然が残っており、京の都の穢を祓い続けたパワーが森全体に満ち溢れています。

 

 ちなみに私が写真を撮りに訪れた日は、12日間の連勤と、前日に「親知らず」を抜歯して、その痛みからイライラしていたのですが、神域にいる間には見事に痛みが取れてビックしました。 摩訶不思議なようですが事実です。本当に心身ともに癒されました。

 

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糺の森を10分ほど歩くと、下鴨神社にたどり着きます。

 

 楼門をくぐり、本殿において神様に日頃の感謝の誠を捧げた後は、御手洗池(みたらしいけ)に行きましょう。

 

 

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 本殿横には、御手洗池があります。文字通葵祭りで「斎王代」(さいおうだい)が御手を洗われる池なのですが、暑い日にこんこんと湧き出る湧水に歩き疲れた足を浸すと、この場から離れる事が嫌になるほど気持ち良いですよ。

 ちなみに、この湧水が湧き出る時の泡の形をモチーフしたのが「みたらし団子」と云われています。

 

 以上が参詣の流れですが、京都に旅行で来られるかたは、観光スポットを何ヶ所も1日で回るのではなく、半日をこの糺の森下鴨神社で過ごして欲しいですよね。日程がきついでしょうけど。

 

 ベンチに座って何も考えず、ゆっくり深呼吸しましょうよ! 確実に癒されますから。(^-^)

 

 また、糺の森の入口付近には、日本三大随筆の一つ『方丈記』を著した「鴨長明」(かものちょうめい)ゆかりの「河合神社」もあります。「美人の社」として有名ですので、お帰りの際にはぜひ参詣してください。