世界遺産の広報職員が教える京都「本当に癒されるパワースポットその③伏見稲荷大社編」

本日は仕事がお休み。しかも朝から快晴のうえ、肌に心地よい風まで吹いている。

歯痛のため、しばらくチャリンコに乗ってなかったので体がウズウズ。早速着替えてチャリンコに飛び乗り、「パワースポット巡り」へ向けて漕ぎ出した。

 

今回報告する

「本物のパワースポット第3弾」は、伏見稲荷大社

言わずと知れた、全国に3千社点在し、合祀を数に含めると約3万2千の社で祀られる稲荷神社。いわゆる「お稲荷さん」の総本宮に当たります。

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久しぶりの快晴のため、朱色の鳥居と楼門(ろうもん)が初秋の青空によく映えていました。

 

 この伏見稲荷大社は、「宇賀之御魂大神(うかのみたまおおかみ)」を主祭神に、佐田彦大神(さたひこおおかみ)、大宮能売大神(おほみやのめのみこと)田中大神(たなかのおおかみ)、四大神 (しのおおかみ)の、日本を代表する五穀豊穣の神五柱が祀られています。

 

 この宇賀之御魂は、前回の「松尾大社」編でも紹介した「天界の暴れん坊」スサノオ命の娘神と云われます。

 また、平安時代に神社に祀られている神様やその格式などが記された『延喜式』(えんぎしき)の中では、本年式年遷宮を迎えた伊勢神宮(いせじんぐう)の外宮の主祭神豊受大神」(とようけのおおかみ)と同じ神様とされております。つまり日本で一番格式の高い「豊穣の神様」なんですね。

 

 しかし、この伏見稲荷は、伊勢神宮の神様を祀っているにもかかわらず、「京都の大豪族」秦氏の創建と伝わっています。

 伏見稲荷の成り立ちを記した『山城国風土記』によると、松尾大社を創建した秦都理(はたのとり)とは兄弟である秦伊侶具(はたのいろく)が稲荷山の頂上に宇賀之御魂を祀り、その子孫である秦中家(はたなかつへ)が山麓に社殿を構えた「秦氏の氏神」と伝わっていますので、「なぜ伊勢神宮の神様が、地方豪族の氏神様に?」と疑問に思ってきますよねぇ。

 

 そもそも、天照大神(あまてらすおおみのかみ)を始祖とする天孫系(てんそんけい)の神様が祀られている伊勢神宮の神様が、京都の渡来人の末裔である一豪族の氏神と同じとというのは、少々合点がいきません。、

 しかも、この秦伊呂倶は京都を二分して支配していた「賀茂氏」(かもし)よりの養子と伝わっていますので、ここにも大神社にお決まりの、朝廷の神様と地方豪族の神様をみな親戚にしてしまって、「この地を支配するのは、神様の時代から約束されたこと、と言う理屈で人々の理解を得ていた」理論が成り立ちます。

 

 少々日本一の大社としては、神様の縁起が薄いような気もしますが、それはこの後に私が考える「京都パワースポット」理論の中で重要になってくるので今は、とりあえず流しておきます(^-^)

 

 ちなみに同じく祀られている「田中大神」は松尾大社の主祭神の「大山咋神」と同じ神様だと云われていますよ。

 

 

 さてウンチクはこれくらいにして、伏見稲荷大社のレポートを始めたいと思います。

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JR「伏見稲荷駅」の駅舎を出ると、本当にすぐ目の前に参道が続いています。私のチャリンコも記念撮影。

 

 

 交通アクセスは、電車の場合JRでも京阪でも伏見稲荷の目前に駅舎がありますので、電車で行くと間違いないです。特にJR「伏見稲荷駅」は、本当に目の前に駅舎がありますよ。

 

 車の場合は、最近参道が綺麗になったので、参道脇に200台程の無料駐車場が設置されました。平日に参詣の場合は車で訪れても何ら問題ないでしょう。便利な世の中になったもんです。

 ただし、目前を走る稲荷街道は北向きの一方通行になっておりますので、気を付けてくださいね。

 

 

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内拝殿の絢爛豪華さには、目を奪われてしまします。

 

 楼門くぐると、拝殿から内拝殿へと進みます。ここで神様に日頃の「報恩謝徳」(ほうおんしゃとく)の気持ちを込め、願い事をご祈願します。

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内拝殿から本殿を望む

 

 参拝が終わったら、稲荷山に登りましょう。この神社は「三輪大社」と同じで、山全体が御神体となっています。ここで帰ってしまうと、ご利益も半減しますよ(^_^;)

 

 拝殿から左へ抜けると、山頂へと続く階段が見えてきます。そこを登っていくと、よく伏見稲荷のCMなどで使われている「千本鳥居」にたどり着きます。

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こんな感じの奉納された鳥居がびっちりひしめく参道を抜け山頂へと登って行きます。

 

 

 久しぶりに「お稲荷さん」に参詣にきましたが、参道が綺麗になっていることと、「外国人観光客」の多さに度肝を抜かれました。

 どうも最近、日本での人気観光地「No2」に選ばれたらしく、洋の東西を問わず外国人の皆さんが、続々と駅から出てきて、参道を山頂へと登って行かれます。

 目に余るような「不良外人」はいませんが、お昼時のお稲荷さんは特に観光客でごった返し、狭い千本鳥居の参道は「肉食を主とする彼ら」の体臭で、とても「癒し」を求めて行く場所ではなくなってしまっています。

 

 私自身も若い頃に「実業家」を気取っていた時期がありましたので、初詣は必ず「お稲荷さん」に詣でたものでした。ただ人ゴミの嫌いな私は、あえて深夜か早朝に詣でていたため、恥ずかしながらこんなに人がいるお稲荷さんを知りませんでした。

 

 夜に拝登する稲荷山は、山頂まで設置してある電灯に鳥居の「朱色」が見事に照らし出され、異次元の世界に来たような、えも言われぬ幻想的な光景を醸しだし、本当に心を奪われたものでした。

 早朝の登山も、朝霧に差し込む朝日が眩しくてとても素敵でしたよ。山全体が神域ということもあり、神のふところ深くに抱かれて生きている事を実感できましたね。(^-^)

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何とか人の途切れた一瞬に、幻想的な千本鳥居を撮ってみましたが、やっぱり真昼は雰囲気が出ませんね。

 

 

 つまり、結論を言うと、

伏見稲荷への参詣は深夜か早朝に行こう。

ということです。

 

 私の経験上、24時間いつでも山頂へは登れましたので問題ないと思います。

何よりあの人ごみと携帯撮影隊の多さでは、せっかくいただいた「パワー」の効果も薄れるような気がしてきます。

 

 旅行者の方々は、ちょっと時間の調整が難しいかもしれないですけど、せっかくの京都旅行なので、何とか始発で参詣に向かうくらいのつもりで頑張って見てください。絶対損はさせないですよ。(^ω^)

 

 

 

 さて、話はまた神様の話に戻りますが、どうも私には伊勢神宮の外宮に祀られている「豊受大神」が、秦氏の氏神として祀られている理由に合点がいかないのです。

 

 神社の縁起には、「秦伊呂倶はたくさんの田んぼを所有していたため贅沢になり、ついた餅(もち)を的の代わりにして弓矢の練習をしていると、突然その餅が白鳥に姿を変えて、稲荷山の山頂に卵を産み落とした。その産み落とされた神様が宇賀之御魂大神で、伊呂倶は自分の過ちを後悔し、その神様を祀った」とあります。

 

 はぁ! Σ(ノ≧ڡ≦) ちんぷんかんぷん

 全然、伊勢神宮との接点なんてありませんやん。

 

 まぁ、詳しい学論は学者さんにお任せするということで、私の素人理論は、先にも述べた通り「大和朝廷と地方豪族が神話の中で同じ祖先となることにより、権力を維持した」という考え方です。しかも、「パワースポット理論」には、神様の縁起は余り重要ではないんです。

 

重要なのは地勢的な神社の位置関係

 

だと思うんです。

 

 あと、「朝廷」と「秦氏」と「賀茂氏」との関係。

 秦氏の氏神がなぜ二社もあるのか?。また、なぜ秦氏のもうひとつの氏神「宇賀之御魂大神」を賀茂氏から養子で入ってきた「秦伊呂倶」が、「朝廷」の大神「豊受大神」として祀ることとなったのか、京都の地図をよ~く見つめてわかったことがありました。

 

この三つの神社の位置関係には奇妙な共通点があるんです

 

 突拍子もないような話になるかもしれませんが、次回は、3回にわたって紹介した京都を代表する3大社を地図上での位置関係でお話したいと思います。

 

お楽しみにo(^▽^)o

 


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